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導入事例  : 愛媛大学

2011.02.07

「VMware」+「NetApp」による仮想化基盤を大学院の教育用インフラとして導入 先進ICTスペシャリストの育成にフル活用

詳細な資料はこちらからPDF(1.15MB)

国立大学法人 愛媛大学 大学院理工学研究科様(以下、愛媛大学)では、2009年4月に新たな 研究コース「ICTスペシャリスト育成コース」を開設しました。この新コースの特長は、地域のICT 業界で指導的な役割を果たすエキスパートの育成を掲げている点にあります。単に専門分野の研 究を行うのではなく、システム/サービス開発の最前線で活躍できる人材を育てることを目的とし ているため、学生の教育・指導用インフラには、実際に企業や官公庁などで使われているシステム と同様の最先端IT環境が求められました。そこで同大学では、ネットワールドが提供するサーバ仮 想化ソフトウェア「VMware vSphere 4」とネットワークストレージ「NetApp FAS2050A」 を導入。次世代のICTスペシャリストを育成するための基盤として活用しています。

小林 真也 氏

国立大学法人 愛媛大学
総合情報メディアセンター長
大学院理工学研究科
電子情報工学専攻 情報工学講座 教授
小林 真也 氏

福島 誠治 氏

国立大学法人 愛媛大学
大学院理工学研究科
ICTスペシャリスト育成コース
客員教授
福島 誠治 氏

 

国立大学法人 愛媛大学

所在地 : 愛媛県松山市文京町3
設 置 : 1949年5月31日
U R L : http://www.ehime-u.ac.jp/
事業内容 : 松山高等学校、愛媛師範学校、愛媛青年師範学校、新居浜工業専門学校を母体として設立。現在は「学生中心の大学」「地域にあって輝く大学」を理念として掲げ、地域の研究・教育活動の中核として多面的な活動を展開している。
地域を代表する大学として先端的な教育・研究活動を展開

「坊っちゃん」「坂の上の雲」など、著名な文芸作品の舞台として知られる愛媛県・松山市。その中心部に、愛媛大学の城北キャンパスが広がっている。「学生中心の大学」「地域にあって輝く大学」を掲げる同大学では、各分野の先端研究も積極的に展開。従来の常識を覆すような画期的な発見も数多く生み出している。
こうした教育・研究活動を支えているのが、情報システム部門である総合情報メディアセンターだ。センター長を務める愛媛大学 大学院理工学研究科 電子情報工学専攻 情報工学講座 教授 小林 真也氏は、「今や大学運営においても、ICTの利活用が不可欠の要素。総合情報メディアセンターとしても、教育用コンピュータや学内ネットワークの整備に力を注いでいます」と語る。

ICTの最前線で活躍できるスペシャリストの育成を目指す

2009年4月、同大学では、大学院理工学研究科に新たな研究コース「ICTスペシャリスト育成コース」を開設した。このコースには、通常の大学院の研究科とは大きく異なる点があると小林氏は説明する。
「一般に大学院というものは、研究者養成のために設置されるケースが圧倒的です。しかし、ICTスペシャリストコースは、『地域や社会のICTを支える人材の育成』を目的としています」(小林氏)。
同大学がこうした取り組みを始めた背景には、大学院でICTを学んだ学生と、企業が求める人材像の間に、乖離が生じていることがある。「せっかく大学院で先端研究を行っても、それが就職後に活かされないケースも見受けられる。これでは大学としても、最高教育機関としての使命を充分に果たしているとは言えません。そこで、ICTスペシャリスト育成コースでは、地域や社会をICTで牽引できる人材、実際のシステム/サービス開発の現場で活躍できる人材を育てたいと考えました」と小林氏は続ける。
さらに、このコースの注目すべき点は、産学官協同の取り組みでもあるところだ。地元のICT企業で働く社会人を積極的に受け入れるだけでなく、社会人学生が規定のカリキュラムを修了すると、松山市がその企業に対して授業料の一部を補助する制度まで設けられている。
カリキュラムの内容も非常にユニークだ。同コースで教鞭を執る愛媛大学ICTスペシャリスト育成コース客員教授福島誠治氏は「プロジェクトマネージャーを務められる人材を育てるコースですから、普通の工学系、理科系の研究室ではやらないような科目もいろいろあります。たとえば、特許や著作権などの知的財産権に関連する科目、ISO9001/14001に代表される品質・環境関連の科目などですね」と語る。インターンシップにも力を入れており、最長で一年、大手企業や地元ICT企業に派遣して経験を積ませるという。
さらに、最大の目玉とも言えるのが、「ProjectBasedLearning(PBL)」である。これは、学生たちがプロジェクトマネージャー役、リーダー役、SE役、プログラマー役に分かれ、一つのシステム/サービスを実際に自分たちで作り上げるというもの。スケジュールも設定されており、定められた納期通りに完成させることが求められる。
もちろん、こうした教育を行うためには、システムを構築するためのインフラが必要になる。そこで同大学が導入したのが、ネットワールドが提供するサーバ仮想化ソフト「VMwarevSphere4」と、ネットワークストレージ「NetAppFAS2050A」である。

VMwareによる仮想基盤を教育用のインフラとして活用

教育用のインフラとして仮想化基盤を導入した理由を、小林氏は次のように説明する。
「次世代を担うICTエキスパートになるためには、実際に企業や社会で活用されている技術に精通しておくことが必要です。特に、仮想化はこれからの主流となる技術ですから、インフラとして絶対に欠かせないと考えました」(小林氏)。
サーバ仮想化ソフトウェアにVMwareを選んだのも、同様の理由からだ。福島氏は「世間でそれほど使われていない仮想化製品に詳しくても、あまり実務の役には立ちません。その点、VMwareはこの分野で業界標準的な製品ですから、迷わず採用を決めました」と語る。
2010年4月より本稼働を開始した仮想化基盤では、2台のVMwareESXServerを導入。「VMwarevMotion」や「VMwareDRS」「VMwareHA」など、VMwareの特長的な機能も全面的に導入されている。これも、「将来業務で利用する可能性のある技術はすべて網羅する」との考えからだ。小林氏は「私はよくこういう例え話をするのですが、これから航空機のパイロットになろうとする人に、自転車や自動車で教育しても意味がないですよね。たとえ小型機であっても、ちゃんと本物の飛行機で飛ばせてあげないと」とにこやかに語る。
既に仮想化基盤上では、PBLで学生が企画・開発したサービスの稼働も始まっている。福島氏は「一つはWeb上でアンケートや小テストを実施するシステムで、市販のアンケートシステムにあるような機能はほぼ備えています。もう一つは、自分が読んで面白かった書籍を他の人に推薦するシステムで、Amazonのrecommend機能と同様の機能を実現しています」と語る。ちなみに、仮想環境のメリットを利用して、Webサーバやメールサーバなども今回のインフラ上に構築しているとのこと。福島氏は「こうした作業も、演習の一環として学生が行っています」と続ける。

愛媛大学 構成図

NetAppの機能も有効に活用学内情報システムへの展開も

仮想化基盤用のストレージとして導入された「NetApp FAS2050A」への評価も高い。「ストレージについても広く市場で使われている製品を採用したかったので、『VMware+NetApp』というネットワールドの提案は非常にありがたかった」と福島氏。NetApp製品はVMware環境との親和性が高いため、柔軟で使いやすいインフラを構築する上で大きく役立つ。 
たとえば同コースでは、バックアップにNetAppの「SnapManager for Virtual Infrastructure(SMVI)」を活用している。これは、VMwareとNetAppのSnapshot機能を自動連携する機能で、連携スクリプトなどを作り込むことなく、簡単にバックアップ/リストアが行える。 
将来的にPBLで開発するシステム/サービスが増えた場合には、データ容量が増加することが予想されるが、こうした場合に備えて「Deduplication(重複排除)」機能も導入。ストレージリソースをムダなく利用できるようにしている。 
また、今後に向けて大きな期待が掛けられているのが、ユニファイド・ストレージ機能だ。「企業の方と話をしていると、今の学生は物理層に弱いと指摘されることがあります。その点、NetAppは、現在利用しているNFSだけでなく、ファイバチャネルやiSCSIにも対応できます。いろいろな物理インターフェイスが利用できるのは、我々の教育においても大きなメリットですね」(福島氏)。 
仮想化基盤による先進的な教育環境を実現した愛媛大学だが、今後は学内情報インフラの仮想化も視野に入れている。「企業情報システムと同じく、大学の事務・管理運営システムも、部門や用途ごとに構築されています。今後はこれらの統合・集約にも、仮想化技術の活用を考えています。ネットワールドの提案にも、大いに期待しています」と小林氏は語った。

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