2009年6月18日
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外国為替証拠金取引(FX)、株式、CFDなどの投資サービスを提供するひまわり証券株式会社様(以下、ひまわり証券)では、FXオンライントレード用の情報システム基盤を刷新しました。同社では口座数や取引の増加に対応すべく、サーバ群の増強を段階的に行ってきました。しかし台数が増えるに従って、物理的な障害の発生回数も増加。また、高信頼・高可用性環境を維持するためのコストがかさむ点も大きな課題でした。そこで目を付けたのが、ネットワールドが提 供するサーバ仮想化ソフトウェア「VMware Infrastructure 3」です。「VMware HA」などの高可用性機構を活用し、金融システムに欠かせない安定的なサービス提供を実現。また、運用管理の効率化やTCO削減にも役立てています。
ひまわりホールディングス
株式会社
情報システム部 システム管理グループ
マネージャー
堂山 和彦 氏
TIS株式会社
金融・カード事業統括本部 金融事業部
ファイナンシャルシステム
第4部 主任
長沢 真一郎 氏
ひまわり証券株式会社
本 社 : | 東京都港区海岸1-11-1 |
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設 立 : | 2002年2月14日 |
資 本 金 : | 20億円 |
売 上 高 : | 58億2000万円(2008年度実績) |
U R L : | http://sec.himawari-group.co.jp/ |
事業内容 : | 「一歩先を目指す投資家のための証券会社」を事業コンセプトに、株式取引、先物・オプション取引、FX、CFD、投資信託などのサービスを提供するネット証券会社。システムトレードツール「トレードシグナル」などの画期的なツールも提供している。 |
<パートナー概要>
TIS株式会社
本 社 : | 東京都港区海岸1-14-5 |
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設 立 : | 1971年4月28日 |
資 本 金 : | 231億1,056万円 |
従業員数 : | 2,827名(2009年3月31日現在) |
U R L : | http://www.tis.co.jp/ |
「貯蓄から投資へ」の流れに伴って、金融サービスへのニーズも一段と多様化が進んでいる。特に、最近では、ネットやITを自在に駆使する個人投資家も増加。サービスの品質や使い勝手に対しても、高いレベルが求められるようになっている。
こうした中、サービスのユニークさと専門性の高さで、人気を集めているのがひまわり証券だ。同社は1998年に日本初の個人投資家向けFXサービス「ひまわりFX」を開始するなど、デリバティブ取引のパイオニアとして知られている。さらに現在では、株式の現物・信用取引、デリバティブ取引を扱うネット証券の中でも最多のラインナップを誇る先物・オプション取引、一つの口座で5,000を超える銘柄を24時間取引できる「ひまわりCFD」、投資信託など、多彩なサービス群を提供。アクティブな個人投資家の活動をしっかりと支え続けている。
ITとビジネスが直結している業種だけに、情報システムが果たす役割も極めて重い。ひまわり証券のシステム運用を全般的にサポートしているひまわりホールディングス情報システム部システム管理グループの堂山氏は、「お客様の資産形成に深く関わるサービスですから、システムの信頼性・可用性確保には細心の注意を払っています。特にFXは24時間取引が可能ですので、『止まらないシステム』であることが大前提です」と話す
同社では2006年から2007年に掛けて、一つの重要なプロジェクトの検討を開始した。それは、FXオンライントレードを支える情報システム基盤の再構築である。当時はシステム構築当初の予想を超えるスピードでサービス利用者が増え続けており、しばしばシステム増強を行う必要に迫られた。これが思わぬところで様々な問題を引き起こしていたのだ。
「物理サーバの台数が増えると、それだけ障害が発生する頻度も増えてきます。一度ノードダウンを起こすと、復旧までに多くの工数と時間が掛かるケースもありました」と堂山氏は振り返る。また、導入時期によってサーバの仕様が少しずつ変わってしまうため、運用管理や保守作業に影響が出るケースもあったという。
ちょうどそんな時に、FXオンライントレード用のアプリケーションを刷新することが決定。同社ではこれを機に、サーバインフラについても見直すことにした。テーマとして掲げられたのは、24時間サービスに耐え得る信頼性・可用性と、メンテナンス時などにおけるダウンタイムの最小化。それにITコストの最適化である。こうした要件を満たす製品として採用されたのが、ネットワールドが提供するサーバ仮想化ソフトウェア「VMware Infrastructure 3」であった。VMwareを提案した理由について、同社のITパートナーであるTISの長沢氏は「旧システムではクラスタ・ソフトウェアを利用してHA化を行っていましたが、できればOSレベルで冗長化を行いたかったことが一つ。また、メンテナンスの際などに、システムを止めることなく環境を移動できることも大きなメリットと考えました」と語る。さらにVMwareで仮想化を行えば、物理サーバによるクラスタ構成のように台数が倍々で増えてしまう心配もない。堂山氏は「ネットワールドのセミナーにも参加し、非常にいいソリューションだと感じました。私自身、構築初期に保守作業で苦労した経験がありましたので、仮想化で従来の課題を解消しようと決断しました」と語る。
ビジネスの根幹を支える重要な基幹システムだけに、導入にあたっては徹底的な事前検証も行われた。長沢氏は「VMware VMotionやVMware HAなどの機能がちゃんと動作するかどうか、アプリケーションの動作に問題はないかなど、あらゆる可能性を想定してテストを行いました」と説明する。その結果、インフラとしての信頼性・堅牢性にはまったく問題がないことが証明された。
ただし、一点だけ課題となった点があった。カットオーバー直前に、ゲストOSのLinuxの時刻がずれる現象が判明したのだ。同社のFXオンライントレードシステムは、もし時刻がずれると約定時間が変わってしまう。これは金融取引サービスにおいては大きな問題となるため、早急に解消する必要があった。「100msec以上ずれるとサービスに影響があるとのことでしたので、かなりシビアな調整が要求されました」と長沢氏は話す。
TISでは様々な方法を試した結果、最終的には時刻同期を行うバッチ処理を数秒おきに走らせることでこの問題をクリア。長沢氏は「課題解決に取り組む過程では、ネットワールドからの技術支援にも、大いに助けられました」とにこやかに語る。
また今回のシステムでは、物理環境と仮想環境をうまく組み合わせて活用している点も注目される。「安定稼働が何よりも重視されるシステムなので、サービス用の基幹データベースについては以前から使っていた物理環境のOracle HAからRACへ移行。これに対して、スケーラビリティの要求されるWebサーバやアプリケーションサーバについては、VMwareを全面的に採用してい ます」と長沢氏は説明する。
2008年3月より、新システムは無事本番稼働を開始した。VMwareの導入メリットとして、堂山氏はまず信頼性・可用性の大幅な向上を挙げる。「新しいインフラに代えてからというもの、サービスに影響を及ぼすような障害はまったく起きていません。お客様に対するサービスレベル向上という意味でも、大きな効果がありました」(堂山氏)。物理サーバの台数がむやみに増えることもなくなったため、ハードウェア故障などに起因する障害も激減した。
さらに、仮想化ならではのメリットも生まれている。システム環境のフルバックアップやテスト環境を構築する際には、VMwareのクローン機能を活用。作業の時間や工数を大きく削減することに成功している。もう一つ見逃せないのが、今後のビジネスの成長に即応できる拡張性を手に入れた点だ。堂山氏は「現在 は46台のVMware ESX Server上で、約90の仮想マシンを動かしています。インフラにはある程度余裕を持たせるようにしていますので、サーバを追加する必要に迫られた際にもすぐに対応が行えます」と満足げに語る。懸案の一つであったコストについても「現在と同じような環境を物理サーバで構築したら、ラックがもう4、5ラック必要になるでしょうね。信頼性と拡張性を備えたインフラを、最適なコストで実現できるのもありがたい」と高い評価が寄せられている。
新たなサーバインフラを実現したひまわり証券だが、今後はデスクトップ環境の仮想化を実現する「VMware View(旧VDI)」も導入。社内のトレーダー用の業務端末を、仮想環境上で動かす予定とのことだ。「万一の際の事業継続性を確保するのが、このプロジェクトの目的。将来的には、ディザスタ・リカバリ用のツールとしても、VMwareを活用していきたい」と抱負を語る堂山氏。仮想化という新たな武器を 手に入れた同社の今後が非常に楽しみである。