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導入事例  : 菱中海陸運輸

2009年5月11日

物流基幹システムをVMwareでマイグレーション
アプリケーションの移行コストを約1/10に削減

詳細な資料はこちらからPDF(1.5 MB)

トレーラー輸送を手がける菱中海陸運輸株式会社様(以下、菱中海陸運輸)では、物流業務の根幹を支える「輸送システム」の再構築を実施しました。本稼働開始時に導入したサーバ群が保守期限切れを迎え、新たなプラットフォームに載せ替える必要に迫られたのです。もっとも、このシステムはWindows NT/2000ベースで構築されており、最新のサーバ製品で稼働させるためには大幅な改修が必要でした。そこで同社が選んだのが、ネットワールドが提供す るサーバ仮想化ソフトウェア「VMware Infrastructure 3」です。現行システムをそのまま仮想環境上で動作させることで、移行コストを約1/10に抑制。さらに、システムの性能・信頼性向上も実現しています。

菱中建設株式会社 久保氏

菱中海陸運輸株式会社
監査役
久保 正生 氏

菱中建設株式会社 岩田氏

菱中海陸運輸株式会社
管理事業本部
経理課 課長補佐
岩田 徹 氏

 
菱中建設株式会社 海津氏

菱中建設株式会社
企画部 情報担当次長
ネットワーク管理
海津 成彦 氏

 

菱中海陸運輸株式会社

本 社 : 東京都中央区銀座7-13-8
本 店 : 北海道苫小牧市錦町2-6-22
資 本 金 : 1億円
創 業 : 1908年6月
設 立 : 1962年11月2日
従業員数 : 108名(2008年4月現在)
U R L : http://www.hishinaka.co.jp/kairiku/
事業内容 : フェリーを利用した海上輸送のパイオニアとして、全国を網羅する物流サービスを展開している。また、それ以外にも、陸上輸送業務、倉庫・保管業務、産業廃棄物の広域輸送・収集運搬業務など、幅広い分野にわたるサービス群をラインナップしている。
リコーテクノシステムズ株式会社 紺谷氏

リコーテクノシステムズ
株式会社
北日本セクター統括本部
ITサービス統括室
北海道ネットワークセンター
インテグレーションG
紺谷 幸成 氏

リコージャパン株式会社 長谷川氏

リコージャパン株式会社
MA事業部
NMAグループ 係長
長谷川 真也 氏

 

リコージャパン株式会社

本 社 : 北海道札幌市北区北7条西4丁目12
U R L : http://www.ricoh-japan.co.jp/

リコーテクノシステムズ株式会社

本 社 : 東京都台東区浅草橋5丁目20-8
U R L : http://www.r-ts.co.jp/
100年を超える歴史を誇るトレーラー物流のエキスパート

明治41年の創業以来、100年以上にわたって物流事業を手がけてきた菱中海陸運輸。現在も会社発祥の地である苫小牧を 中心に、北は北海道から、南は九州に至るまで、全国ネットワークの物流網を展開している。
同社の事業の特徴としては、トレーラーを中心とした大規模輸送をメインに据えている点が挙げられる。12〜13メートル級のトレーラーシャーシを約1300台も保有。一回の輸送で運ぶ荷物は約20トンにも及ぶという。「人里離れた山中に巨大な鉄骨を運ぶなど、時には特殊な輸送を依頼されるケースもあります。こうした場合も、事前の道路調査を徹底するなどして、ご要望にお応えしています」と語るのは、菱中海陸運輸 監査役 久保 正生氏。長年の経験・ノウハウが、しっかりとビジネスに活かされているというわけだ。
また、もう一つの大きな特徴が、環境にやさしいビジネスモデルを構築している点だ。遠方への輸送については、トレーラーシャーシをフェリーに載せて海上輸送を行っているのだ。船舶輸送はトラック輸送と比較して格段に燃料使用量やCO2排出量が少なく、環境保全に大きな効果がある。最近でこそこうした発想は 珍しくないが、同社が海上輸送を始めたのは実に30年以上も前。これも同社の先見性の高さを物語るエピソードと言えるだろう。

物流業務の中核を担う「輸送システム」を再構築

近年では物流業界においても、IT 化の波が急激に押し寄せている。同社でも2002年に、物流系の基幹システムである「輸送システム」の再構築を実施。ホストコンピュータをベースとする旧システムから、サーバを中心とした新しいアーキテクチャのシステムへと進化させた。菱中海陸運輸 管理事業本部 経理課 課長補佐 岩田 徹氏は、「当社では全国17 ヶ所に拠点を展開しているため、地域ごとに業務プロセスが異なるなどの問題がありました。しかし、新運輸システムを導入したことで、業務の全社標準化や効率化が推進できました」と話す。
もっとも、年数が経つに連れて、新システムにも一つの課題が生じた。それは構築時に導入したサーバ群の保守期限切れである。ごく単純に考えれば、新しいサーバを購入してアプリケーションを載せ替えれば良さそうに思える。しかし、新運輸システムはWindows NT/2000ベースで開発されていたため、現行のサーバ製品にそのまま移行できなかったのだ。「開発元ベンダに移行のための改修費用を見積ってもらったところ、数億円ものコストが掛かるとのことでした。サーバ更新のためだけに、とてもこれほどの費用は投じられない。我々としても弱ってしまいました」と久保氏は振り返る。 
ちょうどそんな時に、ITパートナーであるリコージャパン/リコーテクノシステムズから提案されたのが、ネットワールドが提供するサーバ仮想化ソフトウェア「VMware Infrastructure3(以下VMware)」である。リコージャパンの長谷川 真也氏は、その理由を「お客様にお話を伺ったところ、現行のアプリケーション自体にご不満はないとのことでした。それならば、今の環境を丸ごとVMware 上へ移行するのが最善の策だと考えたのです」と説明する。 
とはいえ、同社にとっても、仮想化技術の導入は今回が初めて。それだけに不安も大きかったという。菱中建設 企画部 情報担当次長 ネットワーク管理 海津 成彦氏は「クライアントレベルならともかく、実業務に使われているサーバを仮想環境上で動かして本当に大丈夫なのか。最初は懐疑的な見方の方が強かったですね」と振り返る。リコーテクノシステムズの紺谷 幸成氏は「そこでご提案したのが、VMware環境の評価・検証です。アプリケーション稼働に必要な最低限のサーバを移行し、問題がないかどうか動作確認を実施しました」と話す。その結果、物理環境上とまったく同じように稼働することが確認できたため、VMwareの本格導入に踏み切った。

サーバ台数を大幅に削減移行コストも約1/10に

VMwareによる新プラットフォームは、2008年春より本番稼働を開始。従来は7台の物理サーバで構成されていたシステムが、3台のサーバ上で稼働している。これによりサーバ台数が半分以下に減っただけでなく、設置スペースも大幅に削減できた。「以前は据え置きタイプのサーバを使っていたため、システム全体で3ラック必要でした。それが現在では1/2ラックに収まっていますから、データセンタへのロケーションコストもかなり減っています」と久保氏。移行後のシステムを初めて目にしたときには、あまりにもコンパクトなので驚いたという。
最大の課題であった移行コストの面でも、大きな効果が上がっている。「アプリケーションを全面改修する場合と比較して、約1/10程度の費用で済みました。作業的にもテストや検証がほとんどですから、IT部門が多大な負担を抱え込むといったこともありませんでしたね」(久保氏)。
さらに見逃せないのが、信頼性・可用性の向上だ。今回のターゲットである輸送システムは、受注業務からトレーラーシャーシの配車、運行計画立案など、物流に関わる業務を一手に引き受けている。しかも、システムに蓄積されたデータは、請求/支払い業務や会計業務、業績管理など、他の業務でも利用される。「万一障害でダウンするようなことがあると、当社のビジネスそのものが止まってしまう」(岩田氏)というほど重要なシステムなのだ。そこで今回のプロジェクトでは、VMware VMotionやVMware DRS、VMware HAなどの高信頼性・高可用性機構を積極的に活用。紺谷氏が得意とするVMwareの技術やMSClusteServe 技術を融合させ、一般的に大変とされているデータベースの移行作業を短納期で実施する事ができ大きなコストダウンを成功させた。またリコーテクノシステムズのデータセンタでも、24時間・365日の監視体制を敷いている。これにより、安定的な業務運用が実現。「システムやサーバの入れ替えには、とかく大きなトラブルが付きまとうもの。しかしVMwareに関しては、ほとんど問題らしい問題がありませんでした。これは嬉しい誤算でしたね」とにこやかに語る海津氏。岩田氏も「海上輸送だけでも、毎日二百数十件以上のオーダーを処理していますが、システムの信頼性・可用性にまったく不安はありません」と力強く語る。

システムのレスポンスも向上 今後も仮想化技術の活用を検討

プロジェクト開始当初には、想定していなかった効果も生まれた。最新の高性能サーバにシステムを移行したことに加え、データベースの再編成なども行ったことで、レスポンスが格段に向上したのだ。また、運用管理の効率化も実現できたとのこと。「VMwareはシステム全体を集中管理できる上、サーバのリブート操作なども簡単にリモートから行えます。運用負担はかなり軽減されましたね」(岩田氏)。
VMwareによって輸送システムのマイグレーションを成功させた菱中海陸運輸だが、今後も様々なチャレンジを続けていく。「お客様、取引先様とのデータ連携など、まだまだ取り組むべき課題は多い。IT化をさらに推進し、業務改善を図っていきたい」と岩田氏。海津氏も「仮想化技術の有効性が体感できましたので、今後もVMwareの導入を前向きに検討したい」と続ける。また、久保氏も、将来に向けた意気込みを「今後のビジネスでは、ITの戦略活用がより重要になります。当社でもVMwareのような先端技術を積極的に活用し、さらなる成長を目指したい」と語った。

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