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導入事例  : 九州朝日放送

2008年10月6日

放送事業を支える大量の業務サーバ群を
「VMware Infrastructure 3」で統合
ITインフラの最適化と環境対応に貢献

詳細な資料はこちらからPDF(249KB)

北部九州地区を中心に放送事業を展開する九州朝日放送株式会社様(以下、KBC)では、2006年末頃より業務システムの統合プロジェクトに着手しました。各種の業務サーバ群を統合し、ITインフラの最適化や高信頼化、運用管理の効率化を図るのが狙いです。そのためのプロダクトとして採用されたのが、ネットワールドが提供するサーバ仮想化ソフトウェア「VMware Infrastructure 3」です。仮想環境への移行を行うことで、物理サーバの台数を大幅に削減。ハードウェアコストや運用管理負担の軽減に成功すると同時に、開発業務の効率化も実現。また、システムや空調用の電力消費量を削減するなど、環境対応に向けた取り組みにも役立てています。

KBC 岩永氏

KBC
技術局 システム技術部
岩永 幸浩 氏

KBC 齋藤氏

KBC
技術局 システム技術部
副部長
齋藤 利史 氏

 
KBC 大塚氏

KBC
技術局
システム技術部長
大塚 正浩 氏

 

九州朝日放送株式会社

本 社 : 福岡市中央区長浜1-1-1
設 立 : 1953年8月21日
資 本 : 3億8千万円
従業員数 : 221人(2008年4月1日現在)
U R L : http://www.kbc.co.jp/
事業内容 : 手がける放送事業者。社会貢献活動や環境保護活動にも積極的に取り組んでおり、「ラジオ・チャリティ・ミュージックソン」や「水と緑のキャンペーン」などのイベントを実施している。
高品質な番組作りで視聴者の絶大な支持を獲得

北部九州地区を代表する放送局として、テレビ・ラジオ事業を展開しているKBC。本社を置く福岡県だけでなく、九州各県や山口、沖縄エリアに向けたブロッ クネット番組も放送している。番組の自社制作率も非常に高く、テレビで約20%、ラジオで約70%と、民放ローカル局の中でもトップクラス。高品質な番組 作りに取り組む姿勢は視聴者からも高く評価されており、2007年度にはKBCテレビが「全日(6時〜24時)」「プライム(19時〜23時)」「プライ ム2(23時〜25時)」の3つの時間帯で、北部九州地区視聴率1位の3冠を達成した。また、KBCラジオは2008年6月に実施された第30回福岡大都 市圏ラジオ聴取率共同調査において、AMラジオ局の中でトップと なった。
こうした同社の事業展開を下支えしているのが、IT部門であるシステム技術部である。KBC 技術局システム技術部長の大塚正浩氏は「現在の放送局においては、放送のデジタル化への対応が大きな課題になっています。日進月歩の情報技術をデジタル化に上手く役立てることができるように、我々としても関連部門と連携してしっかりと対応を図っていきたい」と語る。
また、業務効率化への貢献も重要な課題だ。システム技術部では放送局向けの専用システムだけでなく、通常の業務システムも担当している。「社内の様々な部 門のスタッフが、効率よく仕事をこなせる環境を作っていくことも我々の役目。今後も『縁の下の力持ち』として、業務環境の整備に務めていきます」と大塚氏 は力強く語る。

VMotionやDRSを高く評価しVMwareの導入を決断

同部門のITに対する取り組みには、一つの大きな特徴がある。インフラの構築・運用の多くを、ITベンダに頼らず自社内で行っているのだ。KBC技術局 システム技術部の齋藤 利史副部長は、その理由を「新しいテクノロジーや製品が毎年のように登場しますが、実際に自分たちで使ってみないとその真価は分かりません。アウトソーシ ングなどによってブラックボックスができてしまうと、コスト増の要因にもつながりますので、できるだけ自前で構築・運用を行うようにしています」と話す。
こうした取り組みの中で、最近の大きなテーマになったのが仮想化技術の導入である。仮想化に関心を抱いたそもそものきっかけは、クラスタ・システムの導入 を検討したことだったという。「業務上特に止めたくないシステムについては、クラスタ化が有効ではないかという議論がありました。しかし、一般的なクラス タリングソフトは非常に高価で、なかなかおいそれとは導入できない。何かいいソリューションはないかと探していました」と齋藤氏は振り返る。
そんな時に出会ったのが、ネットワールドが提供するサーバ仮想化ソフトウェア「VMware Infrastructure 3」(以下、VMware)であった。VMwareは、実行中の仮想サーバを物理サーバ間で移動する「VMware VMotion」やリソースの動的割り当てを行う「VMware DRS」、物理サーバに障害が発生した際に別のサーバ上で自動的にコールドリスタートを行う「VMware HA」などの機能を装備。多額のコストを掛けることなく、高信頼・高可用性化が実現できる。また、大量に稼働しているシステム群を仮想環境に移行すること で、コスト削減や運用の効率化を図ることも可能。まさに、同社のニーズにピッタリのソリューションであった。
もっとも、最初はこうした特長も、額面通りには受け取れなかったとのこと。「VMotionの説明などを聞いても、本当にそんなことができるとは、とても 信じられませんでした。しかし、ネットワールドのセミナーなどを通じて嘘ではないことが確認できたため、導入を決めました」と齋藤氏。自分の目でちゃんと 見極めてから導入するという姿勢は、まさに自主構築を旨とする同社らしいエピソードと言えるだろう。

十数台のサーバ群を仮想環境で稼働 移行作業も極めてスムーズに

VMwareの導入に際しては、市場に提供されている他の仮想化ソリューションとの比較検討も行ったとのこと。しかし候補に挙がった製品は、いずれも同社 のニーズを満たすものではなかった。KBC 技術局 システム技術部の岩永 幸浩氏は「他のソリューションは製品構成が複雑で分かりにくかったり、機能的に不十分だったりと、安心して業務に適用できる感じではありませんでした」と 語る。
VMwareの導入作業は、2007年春頃より開始。仮想化技術の導入が初めてということもあり、最初はファイルサーバやWindowsのアップデート サーバ、DHCPサーバ、ウィルスチェックサーバなど、比較的負荷の軽いシステムを中心に導入を行った。物理サーバから仮想サーバへの移行については、専 用ツールの「VMware P2V Assistant」(当時:現在は「VMware Converter」)を活用。ほとんど手間を掛けることなく移行作業が行えたという。齋藤氏は「新しいシステムを導入する際には、一度はどこかでハマる ものですが、VMwareについては全くそういう記憶がありません。P2V Assistantによる移行についても、気が付いたら作業が終わっていたという印象です」とにこやかに語る。
初期導入で十分な手応えを感じた同社では、その後も仮想環境の移行を推進。岩永氏は「現在はクアッドコア Xeonプロセッサ 1.6GHzと10GBのメモリを搭載したブレードサーバ2台にVMware ESXを導入し、その上で十数台の仮想サーバを稼働させています。システムのレスポンスや信頼性の面でも、問題を感じるような場面は全くありませんね」と 語る。導入から1年余り経った2008年8月には、システムのアップグレードを実施。その際には、サポート窓口とのやり取りでは解決できないトラブルも起 きたが、九州のネットワールドの技術者のサポートを得て、アップグレードを完了させた。「今後ともネットワールドの支援を受けながら、VMwareの運 用・拡張を続けていきたい」と齊藤氏は語る。

グリーンIT化にも貢献 仮想化の適用領域を今後も拡大

VMwareの導入によって、同社の業務には様々なメリットが生まれている。まず一点目は、運用管理の効率化だ。「以前のように物理サーバを個別に監視する必要がありませんので、運用管理の手間は大幅に軽減されました。サーバルームに行く回数も、以前に比べてかなり減っています」と岩永氏は語る。また、もう一点は、開発業務の効率化だ。以前はテストや検証作業などを行うたびに、いちいち物理サーバを手配したりする必要があった。しかし現在では、VMware上に簡単に開発用の環境を構築できる。岩永氏は「コスト的な問題もあるので、テストのためにわざわざサーバを購入するようなことは避けたい。 その点VMwareを導入してからは、思いついた時にすぐ開発環境が用意できるようになりました」と語る。
さらに見逃せないのが、グリーンIT化による環境対応への貢献である。物理サーバが減ったことで、コストだけでなく、サーバや空調機器の電力消費量も減ったのだ。当然このことは、CO2排出量の削減にもつながる。「放送局は視聴者の方々にエコを呼びかける立場でもありますから、自分たち自身でも積極的な取り組みが必要です。その点、VMwareによる仮想化は、こうした面でも効果があったと感じています」と大塚氏は語る。
同社では、今後もVMwareへの統合を推進していく構えだ。「今後はデータベース系の業務システムについても、VMwareの適用を考えていきたい」と齋藤氏。岩永氏も「サーバだけでなく、クライアント統合のためのインフラとしても活用していければ」と期待を語る。今後も放送事業を支える様々なシステム 群が、VMware上で稼働することになりそうだ。

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