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導入事例 :株式会社スチール

2015.07.13

仮想化

基幹システムのクライアントをVMware ThinAppで仮想化 移行コストを1/10以下に削減

株式会社スチール
本   社 : 栃木県河内郡上三川町多功2570-1
設   立 : 1990年8月
U R L http://www.stihl.co.jp/
業   種 : 卸売
事業概要 : チェーンソー、刈払機をはじめとする、各種エンジン/電動ツールの世界的メーカーの日本法人。
 
導入前までの経緯
  • Windows XPベースで構築された基幹業務クライアントを延命することが求められた。
  • 新OS対応に伴うシステム開発コストをできるだけ抑えることが課題となった。

導入後期待される効果
  • VMware ThinAppによるアプリケーション仮想化を実施し、従来通りの継続利用を実現。
  • Windows 7ベースでプログラムを再開発 する場合と比較して1/10以下にコストを 抑制。
プロジェクトメンバー
スピッツァーマリオ 氏

株式会社スチール
代表取締役社長
スピッツァーマリオ 氏

稲田 利行 氏

株式会社スチール
情報システム次長
稲田 利行 氏

 
チェーンソーをはじめとするパワーツールの世界的メーカー

栃木県・河内郡に日本の本社拠点を置くスチールは、チェーンソーや刈払機をはじめとする各種パワーツールの世界的なリーディング・カンパニーである。同日本法人の代表取締役を務めるスピッツァー マリオ氏は「当社が初めてのチェーンソーを開発したのは1926年のこと。それ以来90年近くにわたり、エンジンや電動モーターを動力とする様々なパワーツールをご提供してきました。特にチェーンソーについては、世界でもトップクラスのシェアを誇っています」と説明する。 
その成長を支える原動力となっているのが、業界屈指の充実した研究開発体制だ。ドイツ本社の開発部門には400名以上もの技術者が在籍しており、新たな製品の開発に日々邁進している。また、高品質な製品を生み出す上では、日本市場の果たす役割も大きいとのこと。スピッツァー氏は「品質への評価が一番厳しい日本のお客様に受け入れられた製品であれば、世界中どこへ持っていっても間違いなく通用します」と続ける。 
製品の流通ルートを代理店や専門店に絞っているのも、自社製品/サービスへの強いこだわりによるものだ。スピッツァー氏は「取り扱い方を間違えると怪我の危険もある製品である以上、販売時にしっかりとした説明を行えることが重要です。また当社製品の多くはプロ向けのツールなので、手厚い保守サービスの提供という面からも、パートナー様経由での販売とさせて頂いています」と語る。

XPのサポート終了に伴い基幹業務クライアントの継続利用が困難に

このように意欲的にビジネスを展開する同社だが、実はIT分野において一つの大きな課題を抱えていた。それは基幹業務に利用されているグローバルERPパッケージのOS移行問題だ。 
同社 情報システム次長 稲田 利行氏は、その経緯を「このシステムはクラサバ形式で構築されていますが、クライアント側のアプリケーションはWindows XPベースでした。XPのサポート終了に伴って移行の必要性が生じましたが、肝心のプログラムがWindows 7などの新しいOS上では動作しなかったのです」と説明する。 
もちろん、クライアント側のプログラムをWindows 7ベースで新たに開発し直す手もあるが、今回はそうもいかない事情があった。「当社はグローバル企業なので、基本的に本社主導で業務システムの導入を行います。そして数年後には新たなグローバル基幹システムの導入が予定されており、今さら多額のコストを投じて既存システムを改修するわけにはいかなかったのです」と稲田氏は続ける。 
当面の回避策として、同社ではWindows Server 2003のターミナルサーバ機能を用いてアプリケーションの利用を継続していた。しかしWindows Server 2003のサポート期間終了も間近に控えており、いつまでもこの方法を使うわけにはいかなかった。「基幹システムは受注・支払から在庫管理、会計に至るまで、当社のあらゆる業務に用いられています。これが使えなくなるということは、当社のビジネス自体が止まることを意味するため、早急な解決が求められていました」とスピッツァー氏は語る。 
こうした課題を解消するプロダクトとして新たに導入されたのが、ネットワールドが提供するVMwareのアプリケーション仮想化ソリューション「VMware ThinApp」であった。

VMware ThinAppを採用し システムの継続利用を実現

ThinAppは、仮想化対象のアプリケーションやレジストリ情報、ファイルシステムなどを仮想化し、一つのexeファイルにカプセル化するソリューションである。アプリケーションの動作に必要な環境はすべてこのカプセル内で提供されるため、exeファイルを実行するOSは元のバージョンと異なっていても構わない。
 「ターミナルサーバのような配信形態と違って、ThinAppはアプリケーションとハード/OSとの依存関係を完全に分離できます。これは面白いソリューションだと思いましたので、早速評価版を利用してチェックしてみました」と稲田氏は語る。
 \とはいえ最初に試してみた際には、なかなか思うように動作しなかったとのこと。カプセル化の手順そのものはそれほど複雑ではないが、アプリケーションを正常動作させるには、どのコンポーネントをパッケージに含めるかなどのノウハウが必要になる。特に今回は「カプセル後の段階でファイル容量が約3GB」(稲田氏)にも達する大規模プログラムが対象だったため、そう簡単にはいかなかったのだ。
この問題の解決に大きく貢献したのが、ネットワールドのサービス・サポートである。「ThinAppに精通したネットワールドのエンジニアに来訪してもらい、今回のアプリケーションが仮想化できるかどうか調べてもらいました。すると、作業着手からわずか一日くらいで、正常動作するパッケージを作り上げてしまった。自分たちだけの作業では相当苦労しましたので、この技術力の高さには本当に驚かされましたね。まさに当社の基幹システム移行プロジェクトにおける救世主でした」と稲田氏はにこやかに語る。

株式会社スチール 構成図

移行コストを1/10以下に抑制適用領域の拡大も視野に

カプセル化の目処が立ったことで、OS移行に関する問題も無事解消。2014年10月から本番業務への適用が行われている。「全社の基幹業務が今までと同じように行えることが最大のメリットですが、もう一つ大きいのが移行に伴うコストを最小限に抑えられたという点です。いくらビジネス上の重要性が高いとはいえ、更改時期の迫ったシステムに多額の費用は掛けたくないのが本音です。その点、ThinAppを採用したことで、非常にリーズナブルなコストで対応を図ることができました」とスピッツァー氏は満足げに語る。ちなみに、Windows 7対応に全面的にプログラムを書き換えた場合と比較すると、移行コストは1/10以下に収まっているとのことである。
さらに、同社では、将来的に新グローバル基幹システムが稼働した後も、引き続きThinAppの活用を図っていく考えだ。稲田氏は「たとえば、これまで便利に使っていたフリーウェアなど、同じような互換問題を抱えるアプリケーションが他にもいくつか存在します。こうしたものを引き続き有効活用する上でも、ThinAppが役立ってくれることと考えています」と語る。
プロジェクトを支援したネットワールドへの期待も高い。スピッツァー氏は「今回のケースもそうですが、やはり経営者としては、ある課題を解決できるのか否かを、的確・迅速に判断してもらえるのが一番助かります。現代のビジネスにはITの力が欠かせませんので、ぜひ今後も手厚いサポートをお願いしたいですね」と語った。

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